自治体が取り組む「SDGs未来都市」とは?

SDGs未来都市
沢村愛弓

今回は、「SDGs未来都市」と呼ばれる評価制度について簡単にまとめてみます。

目次

「SDGs未来都市」を知る

「SDGs未来都市」とは政府が自治体ごとに、SDGsへの取り組みの貢献度を評価する制度です。具体的にSDGs未来都市についてご紹介する前に、その誕生経緯に触れておきたいと思います。

SDGs未来都市には、前身ともいえる選定制度がありました。「環境未来都市」と「環境モデル都市」と呼ばれるもので、それぞれ概要をご紹介します。

・環境モデル都市
「低炭素社会」をテーマに掲げ、持続した取り組みを行う自治体

・環境未来都市
「環境、経済、社会」の3つの価値テーマにし、魅力と活気あるまちづくりの実現に取り組む自治体

このように、日本では以前から環境と都市開発をテーマにした取り組みが展開されており、それぞれの評価制度は2008年から実施されていました。その後、これらの評価制度は2018年に「SDGs未来都市」としてより精査され引き継がれる形となりました。

SDGs未来都市の選定基準

SDGs未来都市に選定される基準は気になるところではありますので、ご紹介しておきます。

内閣府は、毎年SDGs課題達成に向けた取り組みを積極的に進める自治体を公募します。応募する自治体は、それぞれがどのような取り組みを実施するのかマニフェストを掲げます。

環境未来都市選定での判断基準となっていた「環境、経済、社会」のテーマを基に、自治体ごとの取り組み状況が統合的に評価されます。

具体的な判断基準は、以下のようなものです。

  • SDGsのテーマに則したものか?
  • 社会にどのような価値を生み出せるか?
  • 地域活性化に向けた取り組みとなっているか?
  • 行政機関や民間事業者、住民との連携が取れるのか?

また、選定された自治体の中から「SDGsモデル事業」という、より先進的な価値を生み出す取り組みが期待される都市を選定がされています。こうした各自治体の取り組みは、地方創生の面においても大きな期待につながっています。

未来都市・自治体SDGsモデル事業選定都市一覧(2022年版)

2018年のSDGs未来都市選定制度が開始されて以降、過去に選ばれた都市を一覧にしてご紹介しましょう。

表は、内閣府から公表されているものを参照しております。

平成30年のSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選ばれた都市

SDGs未来都市自治体SDGsモデル事業
北海道北海道ニセコ町
北海道札幌市北海道下川町
北海道ニセコ町神奈川県
北海道下川町神奈川県横浜市
宮城県東松島市神奈川県鎌倉市
秋田県仙北市富山県富山市
山形県飯豊町岡山県真庭市
茨城県つくば市福岡県北九州市
神奈川県長崎県壱岐市
神奈川県横浜市熊本県小国町
神奈川県鎌倉市
富山県富山市
石川県珠洲市
石川県白山市
長野県
静岡県静岡市
静岡県浜松市
愛知県豊田市
三重県志摩市
大阪府堺市
奈良県十津川村
岡山県岡山市
岡山県真庭市
広島県
山口県宇部市
徳島県上勝町
福岡県北九州市
長崎県壱岐市
熊本県小国町

令和元年のSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選ばれた都市

SDGs未来都市自治体SDGsモデル事業
岩⼿県陸前⾼⽥市福島県郡⼭市
福島県郡⼭市神奈川県⼩⽥原市
栃⽊県宇都宮市新潟県⾒附市
群⾺県みなかみ町富山県南砺市
埼⽟県さいたま市福井県鯖江市
東京都⽇野市京都府舞鶴市
神奈川県川崎市岡⼭県⻄粟倉村
神奈川県⼩⽥原市熊本県熊本市
新潟県⾒附市⿅児島県⼤崎町
富⼭県沖縄県恩納村
富⼭県南砺市
⽯川県⼩松市
福井県鯖江市
愛知県
愛知県名古屋市
愛知県豊橋市
滋賀県
京都府舞鶴市
奈良県⽣駒市
奈良県三郷町
奈良県広陵町
和歌⼭県和歌⼭市
⿃取県智頭町
⿃取県⽇南町
岡⼭県⻄粟倉村
福岡県⼤牟⽥市
福岡県福津市
熊本県熊本市
⿅児島県⼤崎町
⿅児島県徳之島町
沖縄県恩納村

令和2年のSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選ばれた都市

SDGs未来都市自治体SDGsモデル事業
岩手県岩手町 宮城県石巻市
宮城県仙台市 東京都豊島区
宮城県石巻市 石川県金沢市
山形県鶴岡市 三重県いなべ市
埼玉県春日部市 京都府亀岡市
東京都豊島区大阪府・大阪市
神奈川県相模原市大阪府富田林市
石川県金沢市岡山県倉敷市
石川県加賀市 愛媛県松山市
石川県能美市沖縄県石垣市
長野県大町市
岐阜県 
静岡県富士市 
静岡県掛川市 
愛知県岡崎市
三重県 
三重県いなべ市 
滋賀県湖南市 
京都府亀岡市 
大阪府・大阪市
大阪府豊中市 
大阪府富田林市
兵庫県明石市 
岡山県倉敷市
広島県東広島市 
香川県三豊市 
愛媛県松山市 
高知県土佐町 
福岡県宗像市 
長崎県対馬市 
熊本県水俣市 
鹿児島県鹿児島市 
沖縄県石垣市

令和3年のSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選ばれた都市

SDGs未来都市自治体SDGsモデル事業
北海道上士幌町北海道上士幌町
岐阜県岐阜市千葉県市原市
熊本県山都町東京都墨田区
福島県福島市新潟県妙高市
東京都江戸川区岐阜県岐阜市
長野県伊那市岐阜県美濃加茂市
愛知県知立市京都府京都市
兵庫県西脇市愛媛県西条市
千葉県市原市熊本県山都町
岐阜県美濃加茂市沖縄県
沖縄県
茨城県境町
神奈川県松田町
岐阜県高山市
京都府京丹後市
鳥取県鳥取市
東京都墨田区
京都府京都市
岩手県一関市
群馬県
福井県
静岡県富士宮市
大阪府能勢町
熊本県菊池市
新潟県妙高市
愛媛県西条市
山形県米沢市
埼玉県
長野県長野市
愛知県小牧市
兵庫県姫路市

SDGs未来都市が増えることによるメリット

2022年現在において、SDGs未来都市に選定された都市の数は124となり、政府は2024年までに210都市を目指すとしています。

選定される都市には様々なメリットがあり、主に以下のような点が挙げられます。

・未来都市に選定されると、事業計画に政府や専門家からのサポートを受けられる

・都市への移住者が増える

・企業や施設、店舗の誘致が進むことで、生活や雇用面の確保ができる

東京への人口集中と地方の人口流出が大きな課題となっている現状、SDGs未来都市の推進は地方創生につながる重要な取り組みとなります。

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この記事を書いた人

SDGsプロデューサー

企業や自治体が推進するあらゆる分野のSDGsをサポート。新しい視点でのSDGsをプロデュースすることが得意。

野菜ソムリエとして様々な媒体の料理監修やレシピ開発、編集業務に携わる中でSDGsに出会い、その魅力と重要性に気づいてSDGsの勉強をはじめる。現在はデータセクショングループ株式会社MSSで「SDGsプロデューサー」として活動中。

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