西表島のパインがつなぐ持続可能な未来

西表島のパインがつなぐ持続可能な未来

2030年までに達成すべき17の目標であるSDGs。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な生産と消費のパターンを確保することが掲げられています。

沢村愛弓

今回紹介するのは、西表島ホテルが進める「環パインプロジェクト」です。レストランの生ごみを堆肥化し、ピーチパイン農家へ還元することで廃棄物を資源に変える循環型農業を実践。また、「春のピーチパイン祭り」を通じ、地域の特産品と観光を結びつけ、持続可能な発展を目指しています。

目次

背景:西表島の資源課題と持続可能な農業

世界自然遺産に登録された西表島では、美しい自然を守りながら経済活動を続けるための課題が存在します。特に、ピーチパイン農家は肥料の価格高騰や化学肥料による土壌劣化といった問題を抱えていました。この課題に対し、「星野リゾート 西表島ホテル」は島のパイン農家と協力し、循環型農業を目指す「環パインプロジェクト」を始動。レストランで出た生ごみを堆肥化し、農家へ還元することで、持続可能な農業の実現を目指しています。

取り組み:廃棄物を資源へ変える循環の仕組み

「環パインプロジェクト」では、西表島ホテルのレストランで発生する生ごみを堆肥化し、それをピーチパインの畑に戻す取り組みを行っています。このためにホテル敷地内に堆肥舎を設置し、島内の米農家が提供するもみ殻や米ぬかを活用しながら、自然の力を利用した堆肥作りを行っています。
堆肥は一次処理と二次処理を経て、約半年間の発酵を経て完熟堆肥として完成します。2024年11月から、この堆肥をパイン畑に撒き、農家とともにピーチパインの苗を植えました。収穫には2年かかりますが、2026年にはこの循環型農業で育てたピーチパインを宿泊者に提供する予定です。

特長:地域資源の活用と観光との連携

このプロジェクトの特長は、地域資源を最大限に活用し、農業と観光を結びつけている点です。堆肥の材料には、島内で出る廃棄資源を積極的に活用し、廃棄物削減と農業の持続可能性を両立させています。
また、「春のピーチパイン祭り」というイベントで、堆肥で栽培されたピーチパインを提供するなどして、ピーチパインの美味しさや背景にある持続可能な農業の仕組みを観光客に伝える取り組みも実施予定。2025年には5周年を迎え、島全体で収穫シーズンを盛り上げる計画です。

未来への展望:持続可能な農業と地域の発展

「環パインプロジェクト」は、西表島の環境保全だけでなく、地域の経済や教育にも貢献する取り組みです。ホテルの生ごみを再資源化することで、廃棄物を減らしながら農業の生産性を向上させています。
さらに、このプロジェクトは地域の雇用創出にもつながります。農業の持続可能な発展を支えることで、地元の農家が安定した生産を続けられるようになり、観光業とも連携することで経済効果を高めることができます。
また、「春のピーチパイン祭り」を通じて観光客に持続可能な農業について学ぶ機会を提供することで、地域の文化や伝統への理解を深める場ともなっています。今後もこのプロジェクトを継続し、西表島の自然と文化を未来へとつないでいくことが期待されます

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001281.000033064.html

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この記事を書いた人

SDGsプロデューサー

企業や自治体が推進するあらゆる分野のSDGsをサポート。新しい視点でのSDGsをプロデュースすることが得意。

野菜ソムリエとして様々な媒体の料理監修やレシピ開発、編集業務に携わる中でSDGsに出会い、その魅力と重要性に気づいてSDGsの勉強をはじめる。現在はデータセクショングループ株式会社MSSで「SDGsプロデューサー」として活動中。

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